一般的に1・2階が同じ大きさで長方形的な家が地震に強いとされていますが、それではやっぱり家を建てる夢が半減されてしまいます。デザイン性も重要ですよね。
木造建築物がどれだけ構造的に強いかを我々が判断する場合、木造壁量計算を行います。計算結果は「建築基準法」に適合する「耐震等級1」から地震に強い「耐震等級3」までの3段階で表わされます。当然当方では「耐震等級3」になるように設計しますが、これが結構難しいのです。大屋根の家とか中庭のある凹凸のある家は特に頭を悩ませてしまいます。何度も耐力壁のバランスや各階の床の強さを変更して計算し直すのです。「耐震等級3」ですと地震保険の掛け金が半額になるなどのメリットもあってNG判定を出すわけにはいかないのです。
1995年(平成7年)に起こった阪神・淡路大震災の教訓として、その5年後からそれまで使ってなかったホールダウン金物が使われるようになりました。コンクリート基礎と柱、柱と梁をつなぐ金物です。「建設省告示」というものが出されて義務化されたのですが、この告示が出される前から構造計算が必要だった3階建木造住宅ではホールダウン金物が使用されており倒壊被害が少なかったのに対して、義務付けのなかった2階建ての家では柱が抜けたりして全壊・半壊などの被害が多く出たためこの措置がとられたのです。ですから2000年(平成12年)以後に建てられた建物には最低限の安全性があると言えます。
熊本地震では震災後多くの調査団が現地に入りました。その調査書を見て当方も学ぶべきことが沢山あります。築年数が浅い家でも半倒壊しているのです。その原因を探ると、筋交いの配置に問題あったり壁の配置のバランスが悪かったり‥‥耐震設計がいかに大事であるかを考えさせられてしまいました。地盤の盛土に問題があったり、軟弱地盤に建てられていたりした住宅もありました。液状化による住宅の不同沈下も。土地選びが人生を変えることもあるのですね。
現在では「通し柱があれば耐震性に優れている」という考えは必ずしも正しいとは言えないことになっています。通し柱と2階の床を支える梁との接合部分で木材の欠損が大きくて、その部分に破壊が起きている建物が多くあるからです。1階が車庫とかの弱い空間ですと、かなり悲惨な状態になっていました。どうしても通し柱をという方は「金物工法」での柱と梁の緊結をお勧めします。
このように地震の災害が起こるたびに色々なことが見直されて法改正がなされる訳ですが、私共の設計事務所も地震に備えて今後行うべきことは何かを充分考え、かつデザイン性も兼ね備えた凹凸のある建物を設計したいと常々努力しております。
